2009年08月12日

NHK土曜ドラマ「リミット - 刑事の現場2」最終回

「リミット - 刑事の現場2 」の最終回を見終わった。

物凄く良いドラマだった。

普通は1作目が良いドラマでも、2作目は1作目の人気に乗っかって、かろうじてなんとかなっているというものが多い。それが、この「リミット - 刑事の現場2 」では全然違う。惰性のかけらもない。

主人公加藤啓吾の転勤を理由に舞台が入れ替わったこと、登場人物で1作目と2作目で同じなのは主人公の森本未来くらいで、あとは他の役者になっているというのも全く別のドラマにできた理由だろう。だが、それ以上に、「刑事の現場」では青臭いながらも啓吾(森本未来)のやさしさ、愛が犯 人にまで通じていたものが、「リミット - 刑事の現場2 」ではことごとく裏切られている。

犯 罪の質も、通り 魔、ストーカー、連 続 殺 人犯などより悪質なものになっていて、「刑事の現場 1」に見られた「犯人にも犯 罪に至った理由がある」という部分は影をひそめ、犯人は常識が通じない、情状酌量の余地がない存在として立ち現れるのだ。

そんな相互理解不能な犯人を相手にするものだから、展開はNHKドラマとは思えないほどオドロオドロしくなっている。NHKによるお茶の間ドラマという制約がなければ、ラストも違ったものになっていたかもしれない。

それも含め「リミット - 刑事の現場 2」、これはもう、NHKとは思えない、NHKにしかつくれない作品だ。
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2009年07月16日

NHK土曜ドラマ「リミット-刑事の現場2」

放送時間:21:00-21:53(JST)
放送期間:2009年7月11日から8月8日
制作局:NHK
【キャスト】
加藤啓吾:森山未來 (中央署に異動してきた)
梅木拳:武田鉄矢 (中央署の一匹狼)
東野恵一:杉本哲太(刑事課長)
太宰満:伊武雅刀(刑事課長代理)
青井茉莉亜:加藤あい(啓吾の恋人)

「リミット-刑事の現場2」第一回を見た。もう、痺れた。前回の「刑事の現場」を見たときにもここまで凄いドラマが作れるのかと感動したのだが、新シリーズもそれに負けていない。

まず、役者が良い。カメラワークが良い。テンポが良い。テーマが良い。

警察署の雑然とした感じ、着任してもあまりちやほやされていない空気感、武田鉄矢の一匹狼ぶり、ちょっとしたことで「犯人の人権」が持ち出されてしまう「変な日本」の今の姿、本署と所轄署のぎこちない関係、そして、未だに抜けない加藤啓吾(森山未來)の青臭さ・・・・

そのどれもが絶妙にマッチしていて、リアリティと共にドラマ性を醸し出しているのがとてもよい。

前番組は「風に舞いあがるビニールシート」だったが、同じドラマでここまで出来が違うかと思うとため息がでる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を舞台としながら、あれだけ「現場感」がなく、ただただ主人公の内面描写にだけ焦点を当てて、実質、主人公の半径5mのお話しにしてしまうドラマってなんだったのだろう?もしも、あれが本当の国連の姿だったとしたら、そりゃあ、世界の問題なんて解決しないわなあ。

それにしても、「リミット-刑事の現場 2」は第一回から被害者の父親をわざと逮捕して犯人に会わせ、そして思いのたけをぶつけさせるという、現実の世界ではありえないことをやってくれた。これこそ、ドラマの醍醐味である。

最高の刑事物エンターテイメントとしての「刑事の現場」は健在である。
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2009年07月04日

ドラマ「マイリトルシェフ」

マイリトルシェフ DVD-BOX
放送期間:2002年7月10日-9月11日
放送時間:水曜日 22時-
放送局:TBS
【キャスト】
矢田亜希子
阿部寛
上戸彩
梶原善

ドラマ「マイリトルシェフ」を見た。主人公たちが手作りのフランス料理店を経営する物語で、2002年の作品。キャストは矢田亜希子、阿部寛、上戸彩ら。

物凄く面白かった。

全体的に「おいしんぼ」で普及したグルメ漫画系のノリが濃厚だが、ストーリーもしっかりしていて、テンポもよく、なおかつ一話毎にメインとなる話にフォーカスしながら、全話を通して展開していくという基本的なことができている。伏線の使用やカメラワークも巧みで、なんというか、かなりきっちりできているドラマだった。

もちろん役者の演技にも過不足がないので、これまで見た「セクシーボイス」や「未来講師」なんかの雑さが気になってしまった。そして、一話毎に視聴者に涙をさそうような感動的なストーリーを用いていることも評価できる。視聴者の感情を揺さぶりつつ、話を展開させていくという、とても本来的なドラマなのだ。
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2009年06月30日

ドラマ「セクシーボイスアンドロボ」

セクシーボイスアンドロボBOX [DVD]
放送期間:2007年4月10日 - 2007年6月19日
放送局:日本テレビ
【キャスト】
須藤威一郎(通称:ロボ) - 演:松山ケンイチ
林二湖(通称:ニコ) - 演:大後寿々花
林雪江 - 演:片桐はいり
真境名マキ - 演:浅丘ルリ子

そういうわけでドラマ「セクシーボイスアンドロボ」を見ている。1-9話まで見たから、あと2話だ。

このドラマ、「デスノート 映画版」でL役を演じ、人気を博した松山ケンイチが主演するということで話題になった。しかし、初回こそ視聴率をとったものの、2回目以降はすべて1桁台という惨憺たる結果に終わったドラマだ。

まず、役者陣が薄い。これまで書いたキムタク主演のドラマなんかは、どれも超一流の役者を揃え、本来なら主役を張れる役者を脇役やチョイ役で使うという贅沢なものだったが、セクシーボイスにはそれがない。主役の松山ケンイチもデスノートで有名になったわけだし、もう一人の主役 大後寿々花にいたっては14歳のあまり知られていない子役あがりだ。この2人の脇を固めているのが母親役の片桐ハイリとは恐れ入る・・・・つまり、本当に役者陣が薄い。

ただし、私はこのドラマ、嫌いではない。セクシーボイスを演じる14歳の大後寿々花(Ohgo Suzuka)は非常に良い演技をしているし、美人系ではないにしろ、かなりかわいらしい。そして、松山ケンイチも決して下手な役者ではない。

では何が足りないのか?それは、どうやら、コミカルな演技をコミカルに演じすぎていることだろう。例えば、松山はロボットオタクという設定だが、その演技があまりにもオタクっぽくデフォルメされている上に、コミカルに演じているせいでオタク特有の深みがない。彼がオタクであることのメリットがドラマの中に何も現れていないのだ。そもそも松山はLのようなとても神秘的かつ天才の役がはまり役だったのだから、今回もオタクであるがこそ凡人にはおよびもつかない天才性や神秘性をかもし出すことができたはずだ。しかし、このドラマではそれがない。

そのくせ、このドラマは非常に深い意味深な台詞に満ちている。そのひとつひとつの台詞はただの奇麗事とは一線を画する、なかなか興味深いものなのだが、残念なことに、この、デフォルメされたコミカルさの中で空回りしている。

そして、セクシーボイスについても、これは一般向けドラマの限界だろうが、名前の割りにエロさがない。もし、この14歳という微妙な年頃のエロを、どんな形であれ表現できていたならば、このドラマは歴史に名の残る作品となっただろうに。そう、主役大後寿々花は映画「Sayuri」で置屋へ売られてきた主人公Sayuriの少女時代を演じきった女優なのだ。そうした少女特有のエロさが描かれていればと。

そうしたわけで、このドラマは全体的に空回りしている。パンチ力、深み、役者の上手さ等々が足りないのだ。オタクならオタクでアニメ「現視研」レベルまで深めるべきだし、女好き、セクシーボイスならエロも追求すべきだし、そして何より「あなたの隣にスパイがいる」をキャッチとするなら、それこそ本当にスパイドラマ色を強めるべきなのだ。

というわけで、どこまでも軽いドラマとして終わってしまった「セクシーボイスアンドロボ」は非常に残念な作品だった。好きだけどね、こういうドラマ。
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2009年06月27日

アニメ「ERGO PROXY」


Ergo Proxy I [DVD]
原作 :manglobe
監督: 村瀬修功
アニメーション制作: manglobe
放送局: WOWOW
放送期間: 2006年2月25日 - 7月29日
話数 :全23話

「ERGO PROXY」を観た。直訳すると「死の代理人」か?

物凄く、良いアニメだ。

DVDの表紙?を見たときに、これは他とは違うなと直感したのだが、その直感は正しかった。全体のテーマ性、絵、キャラクター設定、ストーリーのどれをとっても第一級だと思う。どうしてこれほど良いアニメが深夜枠の超マイナーB級作品として扱われているのだろう?視聴者の側に、これを評価する度量がなかったということか?内容は一時期もてはやされた?エヴァンゲリオンを数段超えている。

全体のテーマとして「人間とは何か?」「自分とは何か?」「自分の存在に意味があるのか?」「愛されないことへの苦悩と嫉妬」「本当は一番愛していた相手(に会えない辛さ)」「状況がどうであろうと、自分は目の前の現実を受け止め、生き続ける他ない」「自分と違った存在に対する違和感と、一緒にやっていかなくてはいけない現実」などなど、非常に深い問題を正面から描ききっている。そんじょそこらのアニメや、勘違いした押し付けとは大違いで、なおかつそれを楽しめる「作品」のレベルにまで昇華している。

登場人物のネーミングにも歴代の哲学者、特にポストモダンあたりの名前を用いることにより、「これは哲学的な作品なんだよ」ということを宣言すると同時に、そんな予備知識なんかなくても十分楽しめる仕上がりだ。

いわゆる、予備知識がなくても楽しめるし、知ってる人にとってはもっと楽しいという、重層的な娯楽に仕上げるという、まさに私の大好きな構造をとっている。

その上で、ロリキャラや萌えキャラ、ショタキャラやお姉キャラなど、一般的なアニメファンに対する間口も広くとっているという、本当に、手の込んだ、今時なかなかない作品に仕上がっている。これだけのものが創れる日本は、まだまだ捨てたものじゃないと本気で思わせる。

どうして、これだけの作品が深夜枠・超マイナーB級アニメとしてしか存在していないのか?それが本当に不思議だ。
posted by anime69 at 01:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする